"Wave Across"とVAB, 39A, 39Bの見学を終えたわれわれはケネディ宇宙センタービジターセンター(KSCVC)の駐車場までバスで戻ってきた。途中でガイド役の人が「前方からCrew Dragonが運ばれてくるよ!」というので対向車線をみると、なにやら車列が見えてきた。けれどなんか違う?
なにかのモックアップのように見えるのだけどなんだろう? サイズや運搬のタイミングからみて、回収したFalcon9の一段目をトレーラーに乗せてSpaceXの工場に運ぶ時にロケットの上部が潰れてしまわないようにCrew Dragonのかわりにはめる「フタ」なのかな?と思ったけれど、真相はさて?NASAからいただいたパッケージの中にはKSCVCの入場券もあったのでこの日のうちに見学していこうということになったのだが、開園まであと30分ほどある。それまでどうしようかと話しているうちにゲート前には一般客の長い列ができつつあったのでその後ろに並んだ。
KSCVCに来るのは今回で3回目になる。あれ? KSCに来るのが4回目なのにVCに来た記憶は3回しかないぞ、なんで?と思って過去のブログをみたら、2005年7月に野口さんの打上げを見にきた時にはVCには立ち寄らずにインディアン川の対岸にある(当時)Astronauts Hall of Fameを見に行ったらしい。人間とはかくも忘れやすい生き物なのか…
2005年の記事でリンクしたGoogleマップをみると今はLockheed Martin STAR Centerなるものが表示される。あれれ? 場所も建物もここなのにどうなってるの?
調べてみるとこの「合衆国宇宙飛行士の殿堂」ことUnited States Astronauts Hall of FameはKSCVCへの移設のために2015年11月2日に閉鎖されたらしい。たしかに今はGoogleマップで検索するとKSCVCの内部に誘導される。
KSCVCの歴史をWikipediaで紐解くと、マーキュリー計画が始まった1960年代に一般の人が自由に立ち入ることのできる構内道路とその一角に展示物を並べたトレーラーハウスがその起源らしい。1995年からDelaware North Companiesが運営を任され、KSCVCのブランドの確立とともに税金を使わない黒字経営への転換に成功したようだ。
KSCVCのみどころはなんといっても本物のロケットがごろんと展示されているのを見られることだ。2008年の星出くんの打上げのあとにきた時も、知人たちとロケットガーデン(下の写真)ではしゃぎまわっていた記憶がある。
今回、ゲートから入場していきなり目の前にこのロケットガーデンが現れて面食らった。あれ? この場所は他のいろんな展示をみたあとに最後にたどり着く場所ではなかったっけ? ちょっとした方向音痴になってしまった。
あらためて構内地図を昔の記憶と比べてみると、以前は駐車場からみて真正面にあったエントランスからほぼ中央にある広場に出て、そこでいろんな展示を見た後に左手のロケットガーデンとその先にあるバスツアーの発着場に向かっていた。今はロケットガーデン側がエントランスになっていて、そこから時計回りに回り込むような形で各展示施設を巡るような動線になっている。
「たしかKSCのいろんな場所を巡るバスツアーがあるよね? そのチケットを確保するのが最優先事項かな?」と知人たちと話しながらバスの発着場の行列に並んだ。ところがチケット売り場がない。あれれ?と思っていたらチケットなしでバスに乗せられ、有無をいわせずApollo/Saturn V Centerまで連れていかれた。途中、さっき通ったばかりのVABの前をぐるっと巡回して運転手からさっきと同じような解説を聞きながら… KSCVC入場料の中にこのツアーも含まれていたのね。
以前はHistoric Cape Canaveral Tourみたいなのがあって、アラン・シェパードが打ち上げられたレッドストーンの発射台と打上げ管制室を見に行った記憶がある。チケットは別売りなので開園と同時にチケットを確保すべし、と思っていたのだが… 今はどうやら見学ツアーは独立した運営になっているようだ。
Apollo/Saturn V Centerに来るのは今回が2度目だけど、前回は星出くんの打上げ見学でスタジアムまでバスで運ばれてきた時についでに見て歩く感じだった。今回はバスが建物の裏について入場時刻まで外で待たされたので「なんでこんな暑い中で入場順番待ちをさせるんだ?」と不思議に思っていたけれど、Saturn Vの実物と対面する前にSaturn Vがどういう偉業を成し遂げたロケットであったのかを10分程度のショーで見せてから入場する仕組みになってるのね。そうか今の若い人たちはNASAがかつて人類を月に送り込んだことさえ知らないのか…
やっと入場できたと思ったらちょっとした劇場のような部屋に詰め込まれて、アポロ計画の時に実際に打上げ管制センターで使われていたコンソールがずらりと並ぶなかで前方のスクリーンに当時の映像が映し出されて、カウントダウンとともにコンソールが点灯する。おお、それなりに雰囲気でとるやんか。
ここにはアポロ14号司令船「キティホーク」の実物が展示されている。メニエル病を克服したアラン・シェパードが船長として月面に降り立ち、人類で初めて地球以外の天体でゴルフボールをショットしたという偉業?を成し遂げたあと地球に帰還した船…
軽く昼食を食べてからApollo/Saturn V CenterからKSCVCへ戻る途中、道路の右側に立っている松の木に、アメリカの国鳥である白頭鷲が巣を作っている、と、ここを通るたびにバスの運転手から聞かされる。今朝のWave Acrossの帰りでも探したけれど見つけられなかったがようやくこの時目視することができた(写真は撮り損ねた)。キングベッドくらいのサイズがある大きい巣だそうだ。
長くなったのでKSCVCは次の記事で。