2023/09/08

VABと発射台39A・39Bの見学

"Wave Across"イベントに参加した後、バスはKSCの組立棟(VAB)のそばにある巨大な駐車場に向かった。

世界最大の建物であるVABは対岸のTitusvilleの街からもよく見える。アポロ計画のサターンVロケットをすっぽりと収容できる高さ160mの建物は1966年の建設当時、フロリダ州内でいちばん背の高い建物だったらしい。天気の悪い日には建物内部に雲ができるという。とにかくあまりに巨大すぎて距離感がバグる。遠くから見るだけではその巨大さを実感できない。なんど見ても人間が蟻くらいにしか見えない。

築57年になるこの建物は、月へ戻るアルテミス計画などでまだまだ活用されることになっている。

世界中から詰めかける報道関係者のためのメディアセンターもこの駐車場からは見える。CBS Newsは独自の社屋を持っているようだ。米国版松浦さんことBill Harwoodさんもここにいるのかな?

NHKや世界の報道関係者たちはこの駐車場の先にある芝生からバナナクリーク越しに39A発射台を望遠レンズで狙う。我々はここではなくやや北方にあるApollo/Saturn V Centerの駐車場の脇にあるスタジアムから見学することになる。その西側には4,572mの滑走路をもつShuttle Landing Facilityがある。位置関係はこちら。Crew7の宇宙飛行士たちがガルフストリームに乗ってこの滑走路に前々日に到着した様子が報道されていた。

 再びバスに乗って発射台39Aと39Bを巡る。ここはアポロやスペースシャトルが飛び立って行った世界でいちばん有名な発射台といえる。映画などでおなじみの運搬車Crawler TransporterもVABの横に停まっているのが見えた。

VABの横にいると、普通の運搬車にしか見えない。とにかくスケール感がバグる。

ちなみにCrew7を打ち上げるFalcon9ロケットは横倒しにしてトレーラーで発射台まで運ばれるので、この運搬車は使わない。

硬度の高いテネシー川の底石を敷き詰めたというクローラーウェイの脇を通って39Aに向かう。

打上げ見学のスタジアムから39Aをみると、シャトルの時もそうだったけれど肝心のロケット本体は整備棟の裏に隠れてしまって見ることができない。なのでこのバスツアーが本体を見ることのできる唯一のチャンスとなる。

Next Spaceflightによれば、今回使用されるFalcon9ロケットは個体名B1081で新品。

 古川さんらCrew7の宇宙飛行士が乗るCrew Dragonは個体名C210でEnduranceと名付けられており、今回が3回目のフライト。ちなみに前回のCrew5では若田さんが乗り込んだカプセルやね。シャトルの時は再利用と言ってもなにをするにも時間がかかって大変だった記憶があるけれど、SpaceXはこのあたりをもうまったく普通のことみたいにぽんぽん再利用してくる。

重厚長大な歴史を誇るKSCの中で、ここだけはなぜか近未来の別世界という印象があって、時の流れの交錯ぶりにくらくらしてくる。

となりの39B発射台はアルテミス計画のために改修されていて、この日はちょうど移動発射台をパッドに据えてつけて一連の試験をやっていた。この姿を間近にみることができた日本人はまだ少ないと思う。ラッキー♪


ここからSLSの巨大なロケットが月へ向かって打ち上げられることになる。VABの前にあった運搬車はちょうどこれを運ぶ仕事を終えたばかりだったのね。

SLSはわれわれ老人世代が知っているアポロ・サターンの時代のNASAの感覚に近い。

歴史的な発射台をたっぷり堪能して、バスは8時半過ぎにKSCVCの駐車場に戻ってきた。

 

 

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