2023/09/07

Wave Across The Ditch

Best Western Space Shuttle Innにたどり着いたのは米東部夏時間の21時半。携帯やコンデジ、モバイルルーターやモバイルバッテリーの充電をセットして一眠りしてから翌朝4時半すぎに起床した。まだ薄暗い中をケネディ宇宙センターのビジターセンター(KSCVC)に向かう。打上げ予定日の2日前(L-2)に家族や友人たちがCrew7の宇宙飛行士と最後に挨拶することのできる"Wave Across The Ditch"というイベントに参加するためだ。宇宙飛行士たちはすでに検疫に入っていて、挨拶と言っても感染症対策のためロープを挟んで10mほどの距離で古川さんたちと会話することになる。ISSでの船内時間である世界時(UT)にあわせて寝起きしている宇宙飛行士にあわせて、このイベントの参加者の集合時刻も午前5時から6時のあいだと指定されている。

Best WesternからKSCVCの駐車場までは車で15分ほど。この日は一般見学の入口ではなく従業員向けのゲートから入場するように指示されている。事前にPDFで送られてきた入構証を印刷した紙をダッシュボードに掲示してまだ暗いKSCVCのセキュリティを通過する。ハリウッド映画のなかに潜り込んだみたいでちょっとドキドキする。

駐車場でNASAとJAXAの打上げ見学引率担当者と会って、この日の予定や注意事項を聞く。この駐車場からWave Acrossが開催されるKSC HQの駐車場まで大型バスに分乗して向かうわけだが、バスに乗車するためのビジターパスが命よりも大切なので無くさないようにと警告される。

じつはこのパスの正規の受け渡し日時はその前日(L-3)の午後だったのだが、MCO着が夜になったので、米国在住で今回の打上げ見学に参加する知人に代理でチェックインをお願いしておいた。無事にその知人と再会してパスを受け取り、事前に注文しておいたCrew7デザインのTシャツと受験仲間で特注したグループの野球帽も一緒に受け取った。NASAからもらったバッグの中にはNASAやJAXAの記念ピンバッジも入っている。

古川さんの関係者や友人たちが乗るバスは5号車。パスの裏には「5」のシールが貼られている。

バスでKSC HQの駐車場まで運ばれると、Crew7の4人の宇宙飛行士ごとに写真が掲示されていて、それぞれの場所で宇宙飛行士の到着を待った。日の丸を持ってくるのをみんな忘れていたので、Wikipediaから日の丸の画像をダウンロードしてiPadで表示することにした。

東の空が明るくなってきた頃、宇宙飛行士たちが自ら運転するオープンカーで隊列を組んでやってきた。おおカッコいい! ハリウッド映画みたいじゃん!

助手席には古川さんの奥さん。サポート役の大西さんは別の車で古川さんのご家族を乗せて現れた。古川さ〜ん!お元気でいってらっしゃい〜〜〜!

「今回のミッションではなにか『初めてネタ』を仕込んでいますか?」と尋ねたら少し考え込んで、「あったとしてもここでは言えないですね」と笑顔でかわされた。^^;

トリビアネタになるがじつはお孫さんがお生まれになったそうで、「宇宙へ行く初めてのおじいちゃん日本人宇宙飛行士」ということになる。いやぁ我々も歳をとるわけですよ。

30分ほどまったりと(でも大声で)会話を交わした後、宇宙飛行士たちは来た時と同じようにオープンカーで隊列を組んで颯爽と去っていった。ミッションの成功とご無事のご帰還を。

この"Wave Across The Ditch"というイベント、現在はDitch(溝)なんかないただの駐車場での挨拶となっている。日本では向井宇宙飛行士の旦那の本あたりから有名になったと思うが、たしか映画「アポロ13」でもでてきたよね? もしかしたらマーキュリー計画の「ライトスタッフ」でも描かれていたかも、と思ってGoogle検索してみたけれど、驚くほど情報量が少ない。ChatGPTにたずねてみたらしばらく固まった後、「2001年宇宙の旅」の停止直前のHALみたいに1文字ずつためらいがちに語り始めてとうとうクラッシュしてしまった。もしかしておれは触れてはいけないアメリカの国家機密を暴こうとしているのか???←

[追記 映画「アポロ13」のロン・ハワード監督がオーディオコメンタリーで「アポロ時代ではなくシャトル時代に始まった習慣だ」と語っていた、との情報が「𝕏」と称する事実上のTwitterで寄せられました。ZplusC1Bstさんありがとうございます! ChatGPTよ、うたがって悪かった←]

 

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